パニック障害とは〜症状、原因、治療法〜

皆さんはパニック障害という病気を知っていますか?最近では芸能人もこの病気を患っているので、聞いたことがあると思います。

キンプリの岩橋さん、KinKi Kidsの堂本剛さん、タレントのIKKOさんなどがパニック障害にかかっていることを公表しています。ちなみに私も患っていたことがあります。

では、パニック障害とはどのような病気なのでしょうか?ゆっくり見ていくことにしましょう。

パニック障害とは

一言で言うと、「パニック発作とそれに伴う予期不安(よきふあん)からなる不安障害」のことです。

パニック発作は突然に起き、また起こるのではないかと不安になる(予期不安=よきふあん)ことが特徴です。人口の100人に1人はかかる身近な病気と言えます。日本で計算すると単純に120万人の患者さんがいることになります。

身近なパニック障害。次はその症状についてみていくことにしましょう。

パニック障害の症状

なんの前触れもなく、突然激しい不安に襲われ、動悸、耳鳴り、息切れ、めまい、目の前が真っ白になるなどのパニック発作というものに襲われます。

この発作は今までに味わったことのないとてつもない不安感を感じ、「ひょっとしてこのまま死んでしまうんではないか」「発狂してしまうんではないか」と思わず確信してしまうほど強烈で苦しい発作です。

とてつもない恐怖から居ても立っても居られなくなり、救急車を呼ぶ人もいます。

この発作は10分ほどでピークを迎え徐々に収まっていきます。救急車で病院に運ばれても到着した時には嘘のように症状が消えていることもしばしばあります。

パニック発作は、動悸や息苦しさが症状として出るため、心臓発作(心筋梗塞や狭心症)と間違われることがありますが、心臓発作とは無関係なので心電図など心臓の検査をしても異常は発見されません。

また、パニック発作はたいへん辛いものですが、死んでしまうことはありません。

このパニック発作ですが、何度も繰り返すうちに、また発作が起こるんじゃないか?と強い不安(予期不安)に苦しむことになります。

この予期不安がさらなるパニック発作を引き起こす原因にもなりしばしば悪循環となります。

また、発作が起きた場所を避けたり、発作の不安から外出を避けるようになり、引きこもりにつながることもあります。

これを広場恐怖(外出恐怖)といいパニック障害に特徴的です。また、パニック障害が悪化するとうつ病を発症することも知られています。

補足:アメリカ精神医学会が示しているパニック発作の定義を載せますので参考までにご覧ください。

パニック発作の定義(DSM-IV)
以下の症状のうち4つ以上が突然発現し、10分以内に頂点に達する。

(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部不快感
(7)嘔気または腹部の不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
(9)現実感消失(現実でない感じ)、離人症状(自分自身から離れている)
(10)気が狂うことに対する恐怖
(11)死ぬことに対する恐怖
(12)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(13)冷感または熱感

4つ当てはまればパニック発作といえ、パニック障害を発症している可能性が高くなります。

パニック障害の症状について理解できましたでしょうか?

まとめると、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」この3つがパニック障害に特有の症状ということになります。

次はパニック障害の原因について見ていきましょう。

パニック障害の原因

過労、ストレスに加えて、遺伝的な要素や性格的な要素が関係していると言われています。

遺伝的な要素というと、親がパニック障害であった、兄弟がパニック障害であったなど血の繋がった周囲にパニック障害の患者がいるということです。

性格的要素としては、以下の性格がパニック障害になりやすいとされています。

責任感が強い
完璧主義
真面目
神経質
他人からの評価を恐れる
緊張しやすい

などが挙げられます。

ここで大事なのが、パニック障害必ずしも遺伝するというわけではないという事です。遺伝だけで発症するわけではありません。

家族、親戚がパニック障害だからといって、それだけではパニック障害を発症することはありません。それに加えて、身の回りの環境やストレスなど様々な原因が合わさって起きる病気です。誤解がないような強調しておきます。

さて、これらのことがパニック障害の原因と考えられていますが、パニック障害にかかっている時、体の中でどのようなことが起こっているのでしょうか?答えは「脳」に隠されています。

パニック障害のメカニズム

パニック障害が起きている時、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れていることがわかってきています。脳内にはたくさんの神経細胞があって、細胞と細胞の間を神経伝達物質という物質を使って情報のやり取りをしています。

神経伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどがありますが、パニック障害にはセロトニンとノルアドレナリンが関係していると考えられています。

セロトニンは、不安を沈めたり、気分を安定させる神経伝達物質で、ほかの脳内神経伝達物質が出過ぎないように分泌量をコントロールし精神状態を安定させる働きがあります。

またノルアドレナリンは、不安や恐怖感を引き起こし、血圧や心拍数を上げる働きをします。

この、セロトニンの減少、ノルアドレナリンの過剰な分泌がパニック障害の患者の脳内で起こっていると考えららています。

ここまで、パニック障害の症状、原因、メカニズムについて見てきました。ところで、このパニック障害は治る病気なのでしょうか?そして治療法はあるのでしょうか?次はパニック障害の治療法についてみていきます。

パニック障害の治療法

パニック発作は薬で抑えることができます。まずは薬で発作をおさえ、発作が落ち着いてきた段階で心理療法を組み合わせて完治を目指すというのが治療の流れです。

①薬物療法
薬物治療では、「抗うつ薬」、「抗不安薬」が使われます。「抗うつ薬」は脳内のセロトニンを増やす作用があります。

脳内のセロトニンが増えることでパニック発作が減ることが知られています。抗うつ薬には即効性はありません。そのため即効性のある抗不安薬が一緒に使われることが多いです。

抗不安薬はその名の通り不安に直接効果があり、即効性があります。発作が起こりそうな時に内服することで発作を抑える効果があります。

「抗うつ薬」は発作を起こしにくくする薬で、パニック障害に併発しやすいうつ病を防ぐ効果もあります。「抗不安薬」は即効性があるのでいざという時の頼みの綱と言えるでしょう。

②精神療法(心理療法)
精神療法では、呼吸法やリラックス方など、不安を抑える技術を学んだり、物事の考え方をとらえ直す認知行動療法などが行われます。

また、過去にパニック発作を起こした場所にあえて行ってみたり、発作を起こしそうな場所に行ってみるなど、日常避けている場所に暴露するという暴露療法も行われます。

①と②をうまく組み合わせながら治療を行っていきます。

パニック障害の症状、原因、メカニズム、治療法についてみてきましたがいかがでしたか?パニック障害も早期発見早期治療が大切です。思い当たる症状がある人は早めの受診(精神科、心療内科)をお勧めします。

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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