うつ病体験記、初期症状、原因、治療について解説

2000年代に入りうつ病の認知度や理解度も上がってきました。そして、心療内科やメンタルクリニックも増え、精神科の敷居も低いものになりつつあります。

 

さて、身近になったうつ病ですが、果たしてどんな病気なのでしょうか?かみ砕いて解説していきたいと思います。

 

国民病ともいえるうつ病

うつ病は、「国民病」「生涯で10人に1人はかかる程身近な病気」などと紹介されることも多く、ストレス社会、社会構造の複雑化などを背景にその患者数は年々増化しています。

一昔前に比べ、精神科や心療内科の敷居が低くなったため潜在患者数が増加したというのも患者数の増化の原因と言われています。

 

うつ病は誰でもなりうる!

うつ病は誰でも発症しうる身近な病気です。10人中1人は一生の間に一度は発症すると言われており、2020年には新型コロナの影響もうり日本での患者数が170万人を超えました。

 

うつ病の原因

昨今の研究において、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということが分かってきました。

最もうつ病のきっかけとなりやすいのが「環境要因」と呼ばれるものです。例えば、家族や親しい人の死、大切なものを失う(地位、財産、健康など)、人間関係のトラブル。

そして、昇格、結婚、妊娠など一般的にはおめでたいことでも環境が変化すること、ストレスやプレッシャーとなりうつ病の原因となることがあります。

 

また「性格傾向」もうつ病発症の要因のひとつです(病前性格という)。

具体的には、義務感が強い、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性などの性格の持ち主はうつ病を発症しやすいことが知られています。

 

その他「遺伝的要因」、「慢性的な身体疾患」もうつ病の発症要因のひとつです。

 

うつ病は脳の病気と言われるようになりました。うつ病を発症している時の脳の中のメカニズムはどうなのでしょう?

様々な議論がありますが、有力な仮説はうつ病は脳内の神経伝達物質の不足が原因で生じていると考えられています(モノアミン仮説)。

 

脳内では神経細胞から神経細胞へさまざまな神経伝達物質を介して情報伝達が行われています。

 

「神経伝達物質」には、「セロトニン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」など複数あります。

 

うつ病に関与していると考えららている神経伝達物質は例に挙げたセロトニン、ナルアドレナリン、ドーパミンの3種類と考えららています。

前述のさまざまな要因によって、これら神経伝達物質の数が減少し、情報の伝達がうまくいかなくなることからうつ状態が起きていると考えられています。

うつ病の初期症状

抑うつ気分
不安・あせり、イライラ感
遠くへ行きたい・消えてしまいたい
興味または喜びの喪失
意欲の低下・おっくう感
泣くことが増える

 

また、心の症状の他に身体的な症状も多く認めます


寝れない、朝早く起きる、眠りが浅い

食欲、性欲の減退
疲労感
倦怠感
動悸・息苦しさ
身体の痛み

 

うつ病の治療法

うつ病の治療には「休養」、「薬物療法」、「精神療法」という大きな3つの柱があります。

 

① 休養
うつ病は心と体のエネルギーが欠乏した状態と言えます。ストレスから離れ、体をしっかり休ませるということが治療の基本といえます。

 

② 薬物療法
うつ病は前述の通り、脳内の神経伝達物質の減少が原因と考えられています。薬物療法では神経伝達物質の量を増やす抗うつ薬が主に使用されます。

 

抗うつ薬は内服開始後、効果が現れるまでに早くて1週間、普通は2〜3週間ほど時間がかかります。

 

効果が出る前に吐き気や下痢など副作用が先に出ることが多く、肝心の抗うつ効果が現れないからと服薬を中断してしまう方います。

副作用は次第に慣れてくるので自己判断での中止は良くありません。副作用が強くて辛い場合は主治医に相談することが大事です。

抗うつ薬は良くなっても少しづつ減量しなければ、離脱症状が起こることがあります。回復後も自己判断で休薬せず主治医の指示に沿って一定期間継続することが大切です。

 

また、うつ病の多くは不眠、不安感を伴います。睡眠導入剤や抗不安薬などが併用されることが多いです。

③ 精神療法
精神療法では、医師による面談、臨床心理士、公認心理士によるカウンセリングを行います。

 

中でも「認知行動療法」が有名です。これは「否定的に考える思考のクセを修正し、うつ病が再発しないよう思考パターン・行動パターンを修正するという治療法です。

 

精神療法は心理士不足、精神疾患の増加などからどこの病院、クリニックでもできるわけではありません。現状は医師との短時間の面談で薬をもらって終わりというのが実情です。

 

うつ病は誰でも発症する可能性のある病気ですが、正しく治療すればきちんと回復できる病気でもあります。早期発見、早期治療が重要です。前兆を感じたら早めに受診することをお勧めします

 

ここで、私のうつ病体験談を参考に記します。早期発見の手助けになれば幸いです。

うつ病体験談

私も過去にうつ病を経験し、心療内科や精神科に通い治療を受けたことがあります。その後も数回再発し休職もしました。初発は2002年の高校3年生。その後は24歳、37から39歳の時でした。

 

初発の時は、朝起きれなくなり通学できなくなりました。その前からため息が凄く増えていたことが印象に残っています。

当時は自身にうつ病の知識がなく、疲れているだけだと思い栄養ドリンクを飲んで探しましたが効果は当然ありませんでした。

母と共に精神科に行きうつ病の診断のための心理テストを行い、ソーシャルワーカーさんから生育歴など生い立ちと家庭環境、発症に至る経緯を詳しく聞かれました。

医師からは診察とソーシャルワーカーさんへ話した内容、心理テストの結果からうつ病と診断され内服薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤)での治療が開始になりました。

高校3年の10月に発症、治療開始。少しづつ憂鬱感も取れ薬の効果も出てきました。12月には近所の市民会館にアーティストのライブに参加できるほどに回復。大学受験生でしたが受験は諦め浪人することになりました。

 

担任の先生の勧めで、外に出ることを目的にアルバイトを勧められ4月から近所のコンビニで21時〜25時までの勤務を週4日程度こなし、5月には2週間で運転免許を取ることができました。

ここまで順調でしたが、親の勧めで10月から予備校に通うことになりました。

しかし、往復1時間の通学の疲れと友達のいない環境などに適応出来ず再度うつ状態となりました。そして大学受験は当時のセンター試験だけ記念受験し2浪が決定。

 

2浪目は予備校へは行かず独学で勉強するも、夏に再度うつ状態が悪化し勉強が手につかず。センター試験はなんとか受験し地方国立大学を受験しますが撃沈。

予備校に行くことを条件に3浪目が許されました。3浪目は精神的にも落ち着いており、国立大学に合格しました。

受験というプレッシャーから解放されたのか、入学後は精神的にも落ち着いて過ごすことができ、大学2年の7月には通院も薬も卒業することができました。

社会人になってからは仕事のストレスやプレッシャーで再発、休職をすることもありましたが、適宜内服での治療、静養での回復を繰り返しています。

初期症状がわかるようになったので前兆を感じたらすぐに病院に行くようにしています。早期に芽を積めば休職期間も短くこじらせなくて済みます

 

私の場合なかなか完治はしていませんが、早期に芽を摘むことで夜勤ありの急性期病棟看護師を10年以上続けることができています。

 

早期発見、早期治療は重要です。心当たる初期症状があれば早めに精神科、心療内科を受診してください。

 

まとめ

1.うつ病はとても身近な病気である
2.うつ病は誰でもなる可能性がある

3.早期発見、早期治療が重要

4.「環境」「遺伝」「性格傾向」などが発症に関係する
5.「休養」「薬物療法」「精神療法」が治療の3本柱

 

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